7月の空模様 – KIMONO MODERN、相撲界デビュー?! 宇良関の染め抜き着物をデザイン ── 制作の裏側

写真提供:中日新聞社

みなさん、こんにちは。
梅雨が明けたと思ったら、朝からけたたましい蝉の声。毎日が猛暑日でうだるような暑さ・・・そんな中、7/12に開幕した名古屋場所-2026。

今月はちょっといつもと違うお話。
・・・・というのも、なんとKIMONO MODERN。大相撲の宇良関の「染め抜き」をデザイン制作させていただく、というお仕事をさせていただきました。

そもそも「染め抜き」ってなに?

正直に告白すると、今回のお話をいただいた時、私、「染め抜き」のことをよく知らなかったんですね。大相撲も、実は熱心に観るタイプではなかったので、まずは基本を知るところから。いろいろ調べていくうちに、だんだん緊張が増していきました。

「染め抜き」って、幕内以上のお力士さんしか袖を通すことが許されない、特別な着物。ランクによって着られるものが違う、というルールが厳然とある世界。そんな特別な着物をKIMONO MODERN が手がけさせていただけるということ。
そんな機会をいただけたこと、本当にありがたく、光栄に思いました。

え、ピンクじゃないの?!

宇良関といえば、ピンク。
化粧まわしも、着物も、いつもピンク。宇良関の愛されキャラを象徴する、テーマカラーそのもの。

なぜ「ピンク」なのか、と伺ったら──お母さまとお姉さまが、ピンクがお好きで幼い頃よく着せられていて、自分も好きになったのだとか。だから最初、私もピンクをモチーフに考え始めていたんです。


・・・・そうしたら、宇良関ご本人からのご希望が、「黒一色で」と。

「え。」ってなりました笑
もう、わたしの頭の中はピンクのお花畑一色だったので。

チューリップ事件、勃発。

宇良関は、インタビューでも答えられているようにミニマリストな方。「好きなブランドはなんですか」と伺ったら、「無印良品」と即答されるくらい。

控えめで、実直で、飾らない。
あの土俵での愛されキャラのままの、まっすぐな方だなーと。

だから、あんまり派手なものだと、きっと袖を通してもらえないかも・・・
でも、ピンクは外せない。
そしてテーマカラーでもあるピンクををどう黒と共存させるか、そこがいちばんの悩みどころでした。

・・・・ちなみに、一番最初に考えたデザインは「チューリップ」
遠山の金さんの背中の桜吹雪よろしく、チューリップの一本背負!スタッフに見せたらみんな「めっちゃかわいい」「絶対かわいい」と、まぁ、わたしら女子たちは勝手に盛り上がっていたのですが──

「・・・黒で、いいです・・・・」と、やんわり。

ですよね(笑)。

黒地に、牡丹一輪。王者の貫禄と気品を。

そこから頭を切り替えて。
宇良関の黒のきりっとしたかっこよさ、その中にある愛されキャラの華やかさ──両方を、一枚でどう表現するか。

ミニマルなデザインもいくつか考えていたんです。でも、技術的に難しいこともあってご相談したら、「お任せします」とおっしゃってくださったので、

じゃあ、と。腹をくくって。

大胆で、大きな、かわいらしさと、華やかさと、貫禄と。
その全部を兼ね備えた──牡丹の花にすることにしました(ほんとはチューリップがよかったんだけど→しつこい)

碧 ao さん、再びーラフォーレ原宿でのライブセッション

ここでもまた!おせわになりました。京友禅作家の 碧 ao さん。
今年の夏の目玉「フレンチリネン着物」では素敵な絵柄を描いてくださいました。

碧 ao は催事前後のタイトなスケジュールの中だったのですが、ちょうどたまたまそれがラフォーレ原宿に出展されていた期間で。KIMONO MODERN の事務所は、実はラフォーレと目と鼻の先なので、じゃぁラフォーレで打ち合わせしながら描きましょうか!となり

お客様のいなさそうな時間を見計らい、突撃隣の晩御飯!笑
碧 ao さんが筆を動かしながら、私が横で「ここ、もうちょっと濃く」「あ、この部分の色味は・・・」と調整をかける。それに応えて 碧 ao さんが色を足したり、線を変えたり。色の調整、雰囲気の微調整、二人で作り上げていく。そんな時間を重ねました。

やりたいこと、とできないこと、のはざまで。

苦戦もありました。
特別な着物だから当然素材は正絹なんだろう、と思いつつも宇良関とちゃんこをご一緒しながら「洗える方がいいですか?」と聞いたら「え、洗えるんですか?!」というちょっとびっくりしたような反応。

そうなんですよ、今はいろんな素材があって。洗濯機で洗えて、しかもしわにならない。そして昔は、ポリエステルの夏素材は「暑い」というのが定説でしたが、今は接触冷感や速乾性、通気性に優れたもの、など現代の技術の進歩によって自然素材とはまた違うよさのある着物も出てきていて。

なので今回は、接触冷感の国内素材をチョイス。
ただ、もともと黒地のものに京友禅することになるわけなのですが、まず「色が乗るのか問題」がありました。碧 ao さんにはカラーテストをしてもらい、なんとか大丈夫、ということで進めていくことに。とはいえ、黒地に色を、となるとなかなか希望の色にならない。

黒に色を乗せるって、こんなに難しいのか、と。何度も相談させていただきながら、少しずつ理想に近づけていって、最終的にはとても華やかな一着に仕上げていただけました。

宇良関から、写真が届きました

そうして仕上がった染め抜きを、宇良関にお届けしたところ──「ありがとうございます」と、お召しになった写真を送ってくださいました。

黒地に、牡丹一輪。
思っていた通りの、いや、それ以上の姿で立っていてくださって。作った側として、こんなに嬉しい瞬間はありませんでした。

本当は場所入りのお姿をパパラッチしようと思ってたんですが、なんと残念なことに名古屋場所はみなさん裏口から入られるらしく、一般人はお目にかかることすらできないんですって(残念)

非公開の、隠れアイテム- 半幅帯。

そして実はですね、この着物に合わせて、KIMONO MODERN らしいテイストをちょっとプラスした半幅帯も、こっそりプレゼントしていまして。

でも宇良関、シャイな方だから。
きっとちょっと抵抗があったかもな、なんて思いつつ、いつかそっと締めてくださっていたら嬉しいな、と密かに期待しています。だって着物と帯で、ワンセット。私なりのバランスはこのセットで完成なので。水玉模様に裏地はピンク。可愛くないですか? 王者の牡丹柄とこのコントラストが一つの作品となっています。

そしてこの、宇良関にプレゼントした特別仕様の半幅帯──お揃いのデザインの半幅帯を先着5名さまに、お届けしたいと思っています。

詳細はまた後日改めて。どうぞお楽しみに。