6月の空模様-デニム着物クロニクルー禅zenからシルクデニムまで、生地に恋して、20年。
みなさん、こんにちは。
KIMONO MODERNのCreative director&代表のゆきです。
梅雨のにおいがふわっと漂うこの季節(じめっとして、嫌ですねー)、いかがお過ごしでしょうか。商品を考える時、いつも山のようなスワッチ(生地見本)と格闘しているのですが、「生地との向き合い」を考える、ある出来事がありました。

きものやまとさんとのコラボ-三連仮紐
この春、きものやまとさんからご依頼をいただいて、三連仮紐のコラボ商品を制作させていただきました。
三連仮紐というのは、花嫁衣装や成人式の帯結びを作るための小道具で昔からあったもの。白やピンクの、道具として割り切られた味気ない品物だったんですが、それをKIMONO MODERNらしく——見えても可愛い、むしろ帯揚げみたいにチラ見せしてしまいたい。そうして生まれたのが現在販売しているKIMONO MODERNの「三連仮紐」なのですが、
「型を破る」「こうあるべき」から昇華して作ったはずの「三連仮紐」も、知らず知らずのうちに「こうあるべき」が生まれてしまってたのかもしれないという出来事が起こりました。
そう。やまとさんの若い担当者さんから相談を受けた生地が、うちの「こうあるべき」から随分とかけ離れていた、のです。

「こうあるべき」を、一旦捨てる。
通常だったらうちでは「作らない」生地。
だから仕上がりもいつものようにはいかない。NGが出る。
何度もサンプルを重ねて、工場とどうやったら綺麗な仕上がりになるか検証しながら、裏地つけることで補強してみようか、とさまざまな厚みのシーチングや接着芯を重ね合わせてみたり、とにかくいろんな生地とパターンに向き合いました。
正直「無理やし、これ」とお戻ししようと思ったこともあります(笑)でも、その試行錯誤の中から生まれた試作品に
「ふっくら三連仮紐」ってタイトルでもいいですか?って言われたとき、
あ、そっか。
私はずっと三連仮紐ってボリュームがなるべくでないようにしなきゃって思ってたけど、あえてふっくら、もありかもしれない。・・・・ちょっと肩の力が抜けた瞬間でした。

惚れた生地に、あえて挑む。柔軟な発想からしか、よいものは生まれない。
様々な素材と向き合ううちに、少し柔らか頭になってきたんですよね(やまとさんのお陰!)その経験からKIMONO MODERNの新作「シフォン三連仮紐 DREAMS COME TRUE」も生まれました。

シフォンって、通常だったら三連仮紐の生地として即却下なんですよ笑。破損リスク、強度への不安。そう思った瞬間にセレクトから外す生地。でも、待って。袋にすることで厚みが出て、強度も上がるかもしれない。
そして光を通すとキラキラと虹色に色彩が広がって、ふわっと周りを華やかにしてくれる。うん、絶対かわいい(→ 決行!)
惚れた生地に、あえて挑戦する。
そう。
いろんな生地と本気で向き合っていたら、
そういえば昔も、こういうことがあったな。
ということを、思い出しました。それはかれこれ20年前。

20年前の、試行錯誤ーアメリカにいるからこそ、私らしい着物を、という原点「デニム着物」
あれはまだ私がアメリカにいた頃。
2005年か、6年か、そのくらいだったと思います。
せっかくアメリカにいるんだから、私にしか作れない、KIMONO MODERNらしい着物を作りたい。そう思ったときにたどり着いたのが、デニム着物だったわけなのですが、
デニムと一口に言っても、ほんとに様々で。硬さも色彩も全然違う。デニムらしさを追求するとゴワゴワして着づらいし、かといって着物に寄せすぎると頼りない。色はシックで濃い色がいいと思えど、そうすると色落ちが心配で。
街の生地屋さんを巡って手に入れた生地だけでは足りなくて、様々なメーカーに問い合わせてサンプル帳を取り寄せました。実際どれぐらい色落ちするのかと着用してみたり、摩擦テストをしたり、浴槽でドボンと丸ごと一晩漬けて確かめたり。1度洗い、2度洗い、3度洗い・・・・。
「いつになったらお風呂に入れるの!」と苦言を呈されたこともw いろんな実験をしていたなぁと、懐かしい思い出です。

どこにでもあるからこそ、どこにでもない、物語storyを。
「デニム着物を作ろう」
って思ったのはいいけど、ただのデニム着物じゃ面白くない。
そう思って、背景にもこだわりました。KIMONO MODERNのデニム着物として最初に登場した禅zenシリーズでは、植物学者サリー・フォックス博士のカリフォルニアの農場から取れた綿花を使ったオーガニックコットン、スーピマ種と呼ばれる、長い繊維を持つ高級なコットンを使用した生地でした。
今は残念ながら、当時使っていたデニム生地は廃盤になってしまったけれど、あの生地と向き合った時間は、今もKIMONO MODERNのデニム着物の原点として静かに流れています。

Made in Japan デニムの聖地で生まれる、デニム着物。
今使っているデニム生地はすべて、デニムの本場、岡山で製造されたもの。
長年お付き合いいただいている岡山の生地メーカーさんのショールームに、山のように吊り並べられた生地を1つ1つ確かめながら、その生地の産地や物語を担当の方から伺いながら、採用の1枚を選んでいきます。
その積み重ねから生まれたのが、今のデニム着物のラインナップなのです。

大切にしてるのは、世界観を「名前」に込めて、言語化すること。
商品を世に送り出す時、KIMONO MODERNはたぶん、必要以上に「名前」にこだわります。デニム着物も例外ではありません。
デニムとは思えないほどしなやかなベース生地に「シャボン玉加工」という特殊加工を施し、ポコポコとした点でかたどられた、丸の連なりがリズミカルなシャボン玉デニム着物
VINTAGE 92610——「92610」これ、昔私が住んでたアメリカのzip番号(郵便番号)笑 この生地から感じたのはあのカリフォルニアの青い空だったから。
裏表リバーシブルのジャガードで、裾がめくれてもチラ見えがかわいい、GYPSY (毎度毎度、織っていただいている)裏表なんて関係ない、ありのままでいいじゃない!という気持ちを込めて。
大人が冒険できる、ギリギリのやさぐれ感(ビンテージっぽい感じね)と風合いの「Macyu Picyu」に関してはもう、「まちゅぴちゅ」という響きだけで合格!採用(笑)悠久のロマンを感じるじゃないですかw
そしてとうとう、シルクまで配合してしまった・・・最高級バージョンのシルクデニム着物「サンクチュアリ」
・・・・まさに「聖域」「特別な場所」
デニム着物もここまできちゃったか・・・という感じ。

生産者の背景と物語や想いも、商品に込めて。
KIMONO MODERNがデニム着物を作り始めて、かれこれもう20年。
よく「他店のデニム着物もいろいろ見て検討したけど、やっぱり最終的にKIMONO MODERNさんのが一番だった」と言ってお買い物してくださるお客さんが少なくありません。
きっとそれは、手にとってはじめてわかる確かな品質と、その背景にある物語。袖を通したときに感じるしなやかさや奥行きのようなものを感じていただいているからかもしれないと、私は思っています。

「サンクチュアリ」を、残していくために。
選び抜かれた本物の、Made in Japanの底力。
美しい発色としなやかさ、内側から光ってくるような上品な光沢。デニムなのにまるで紬のよう——いや、紬を超えたと言っても過言ではないくらいの最高級の仕上がり、「シルクデニム着物ーサンクチュアリ」
実は、コロナのとき、本当に生地が入ってこなくなってしまったことがあります。生地屋さんも糸すら手に入らなくなって、シルクデニム着物の存続が危うい時期がありました。ようやく生地が戻ってきたと思ったら、今度は年々原価が上がっていって。この価格をキープするのは、もはやこれまで、というところまで来てしまいました。

現行価格は6月まで。7月から、価格改訂いたします。
そんなわけで、大変たいへん心苦しいのですが、「シルクデニム着物-サンクチュアリ」6月をもって現行価格での販売は終了となり、7月から値上げをせざるを得ない状況になってしまいました。
ほんとは私としては自分自身もこの価値を¥49,000(税抜)で買えるならすごく得した気分がする!という、理想的なお値段だったのです。とてもとても申し訳ない気持ちでいっぱいすぎて、メーカーさんに今月までは価格据え置きでお願いします!と依頼をいたしました。
なので、この価格でお届けできる最後の機会に、もし迷われている方がいらっしゃったらぜひ手に取ってほしいと思っています。
大人のカジュアル着物の定番として、あなたのクローゼットにそっと忍ばせていただけたらうれしいです。半幅帯に兵児帯、そして博多帯や様々な格、素材の帯を、受け止めてくれる頼もしい1着になるはず・・・と密やかに思っています。











